2008年04月10日
◆飢餓問題11 綿花をめぐるバトルロワイヤル

今日は、なぜか休みだったので、ヒマなので綿花生産に関する本をまとめてみよう。
「コーヒー、カカオ、コメ、綿花、コショウの暗黒物語 ~生産者を死に追いやるグローバル経済」 ジャン・ピエール・ボリス 林昌宏訳 の、綿花編である。
アフリカでも綿花は生産されているが、「アメリカなどの補助金付き綿花生産を行う国」に対抗できず、苦戦している。
そこでアフリカ諸国が、アメリカをWTOに提訴しようとしたりするまでの話である。
2004年度の綿花生産量は、以下の通り。
一位中国632万トン、二位アメリカ506万トン、三位インド300万トン、四位パキスタン245万トン、五位ブラジル119万トン。
アフリカは各国の生産量は低いが、アフリカ全体での生産量は、世界三位。
■アフリカの綿花生産
舞台はチャド。ちなみにチャドの国の形は、つっぱりリーゼントの横顔にしか見えない。

・チャドの綿花生産。
→1950年代、旧宗主国フランスは、綿花産業により、チャドを近代化させようとした。
[成功要因]
・アフリカ農民・政府の努力
・フランス繊維会社CFDT(ダグリス)による指導
・諸国政府により、農民からの買い付け価格は固定。(農民は安定した収入)
(※反面、CFDTと綿花企業の綿花利権は、腐敗の温床となる。→腐敗、癒着、裏金など。。。)
・しかし現在→国際的な綿花価格の下落により、アフリカ経済に深刻な影響。
◎アフリカ全土でフランスが築き上げた流通経路の仕組み、農作業、商品化集中システムが機能不全となった!!
その原因→国際金融が、アフリカ諸国に対して、民営化圧力を加えたから。 (またIMFと世銀か・・・・)
◎CFDTのアメリカに対する抗議
→アメリカは、アメリカ綿花栽培農民に対して、補助金を交付している。フェアでない!!
→EUにおいても、ギリシャやスペインには補助金を交付している。よって、EUはアフリカの抗議に同調してくれなかった。。。
★問題点は・・・
・アフリカで綿花は従来の方法で、大量に生産されていた。
・しかしニューヨークで決まる国際市場価格は、下落していた→よってアフリカは儲けらず苦しい
・同時に、アメリカの息のかかったIMFと世銀によって、アフリカの綿花利権が解体されようとしていた!!
・アフリカが苦しいのは、国際市場価格が安すぎるからだ!!
・なぜ安いのか??
・アメリカの綿花が政府の補助金で安くなっているからだ!!
→ずるい!!
■アメリカ綿花産業

・綿花関連企業は、40億ドルの予算によって守られている。
・200ヘクタールの超巨大綿花農場
・プランテーションで30万人の雇用。
・国家全体では13人に1人が綿花産業。
・綿花産業はアメリカに毎年4000億ドルの収入。
※2004年に250万トンの輸出。
→安価な大量の綿花は、中国・インドへ輸出され、大量のズボンやシャツへと変わる。
→つまりアジアの紡績業を助けている。しかし、アフリカ諸国には何の恩恵もない!!
■アメリカの莫大な綿花補助金によって・・・
→国際綿花価格は下落。ニューヨークでは、ポンドあたり28セント。(→補助金なしでは、綿花生産者は誰も生活できない)
→さらにアメリカ年金基金が、ニューヨーク一次産品先物市場に流れ込み、相場の変動価格を乱高下させる。

■アフリカ諸国によるアメリカへの抗議
・アメリカは、アフリカの石油などに興味を示していた。アメリカの支援と引き換えに、領土開放しないとならない。
・アフリカはアメリカの政策に異を唱えることに躊躇していた。
◎しかし、アフリカ綿花企業幹部・農民組織・イギリスNGOなどよって、ついにアフリカ諸国は、行動を開始した!!!
・綿花生産国のブラジルが、アメリカを「提訴」することになっていたが、ベナン・チャドがこれに加わった。
・ベナン・チャド・ブルキナファソ・マリがWTOで「協議を要請する提案」をした!!!!!!! (ナナナナント、アフリカ諸国が、国際貿易の秩序に反旗を翻したのであった。)
※「協議を要請する提案」と「提訴」は異なる
・「提訴」は、WTOの紛争調停委員会での、法的決着である。→早期に確定するが、法律的にはアメリカ正しいと判断され、アフリカが負ける可能性大。
・「協議を要請する提案」は、論議を生むだけの、政治的決着である。→時間はかかるが、有効??
⇒結局、「提訴」はせず、「提案」によって意見を通す。
・これにより、カンクンでのWTO後、メディアで大々的にとりあげられ、フランスなどの支援をうけることになった。(まあ苦い勝利・・・)
■EUによる対策
⇒ギリシャ・スペインの綿花補助金の見直し
・ヨーロッパとアフリカがパートナーとして、綿花事業を行う。
■アフリカの綿花
・確かに収穫量は増加していたが、品質は落ちていた。
・人件費は低いが、生産コストは、ブラジルよりも高い。
⇒土地生産性が低いから。つまりブラジルは広大な農地で生産できるが、アフリカの農地は狭い。

■ブラジルの勝利。苦しむアフリカ。
⇒ブラジルはWTOで、アメリカを有罪にすることができた!!!
⇒しかし、アフリカは為替変動による損失もあり、苦しみ続けている。。。
Posted by らっっっきー at
15:11
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2008年04月10日
◆飢餓問題10 昨日の感想

飢餓特集は、なかなか気の滅入る問題だ!
コートジボワールの問題は、結局のところ、穀物メジャーが、混乱をきたした張本人ではないか!! やっぱり詳しく見ていっても、最初に書いたようなアラスジは、全くもって正しかったんだなー。
そして穀物メジャーだけでなく、さらなるビッグプレイヤーがいた!! 世界銀行とIMFである。世界中の国々に「ワシントン・コンセンサス」を押し付けて、ボロボロにして、アメリカなどが儲ける仕組みを作った世銀・IMFの罪は重い。
このような話は、「世界を不幸にしたグローバリズムの正体」という本に詳しく書かれている。ノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツ氏の本である。
悲しいのは、コートジボワールの人たちが無能というわけではなく、いろいろな対策を考えて、命がけで必死で動いているのにも関わらず、巨大で獰猛な国際金融人脈の力には、勝てないということであった。
そして、コートジボワールの人たちが全て、善き被害者というワケでもなく、腐敗して、結束力がなく、バラバラであった。
いやはや、資本主義とはいったいどこへ向かうのであろうか。。。
農民から集めた金のほとんどを、政府が着服して、戦闘機代に消えたというのは、あまりにもバカバカしくて、笑ってしまった。
しかも、その戦闘機は、フランスによって撃墜されたらしい。。。
えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。
それにしても、ある産業に従事して、しばらくの間、儲かって国際的にもうまくやっていったとしても、その方法はあるとき、急に通用しなくなるということがあるのだ。まったく恐ろしいことだ。農産物は全くそれであって、価格下落がとまらない。
同じ事が、別の産業でも頻繁に起こり得る。自動車も、コンピュータも、家電製品も、どんどん人件費の安い国で作られて、日本もアメリカも産業の空洞化が止まらない。
そして、結局地獄のような、「底辺への競争」が続くのだ。さらなる利潤を求めて、どんどん価格は下がってゆく。
さて、、いったいどうしたものであろうか。。
今度は、綿花などについても調べてみようかな。
Posted by らっっっきー at
01:48
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