2008年04月09日
◆飢餓問題9 悲しきチョコレート
今日は、時間もあることなので、具体的に一次産品を作る国が、どんな悲惨な目にあってきたかを具体的な例を挙げようと思う。
カカオを生産するコートジボワールである。
バレンタインデーに、もらったりあげたりするチョコ。あるいは、アーモンド入りチョコとか、菓子の王様といってもよいチョコについて、どれだけのことを知ってるだろうか。
「コーヒー、カカオ、コメ、綿花、コショウの暗黒物語 ~生産者を死に追いやるグローバル経済」 ジャン・ピエール・ボリス 林昌宏訳 の、カカオ編をまとめてみよう。
とにかく、いろいろなプレーヤーが登場し、駆け引きを繰り返す。
悪名高い、IMFや世界銀行というプレーヤー、アメリカなどの穀物メジャーがウジャウジャと登場する。
このような過激な市場原理主義者どもが、ハゲタカのようによってたかって、ゾンビのように襲い掛かれば、アフリカの一国など、ひとたまりもないのである。
しかし、この本の中では、穀物メジャーだけに全ての責任を押し付けるのは、間違いだと著者は言う。
しかし、それでは誰が重要なプレーヤーなのか、わかりづらいのだが・・・。
そして、このような市場原理主義者どもや、様々なプレーヤーによって、国をボロボロにされたのは、バブル崩壊後の日本も同じだったのではなかろうかと思い、なんか、「のだめカンタービレ」の千秋先輩のように、白目を向いてしまう俺であった。
さて・・・・・。要約の開始!!
2004年度において、カカオの世界総生産量は360万トン、そしてコートジボワールの生産量は、133万トンである。
★カカオ産業の黄金期(1960-70年)
・コートジボワールの、ウフェボワニ大統領→カカオ輸出産業育成。
農民・・・隣国のブルキナファソからの農民。中間業者レバノン人。
●「安定化基金」→カカオの流通機構の安定を保つ。(輸出企業に出荷積載量を割り当て。輸出業者に対して、国際相場価格の増減に応じて、課税or損失補填。)
→これにより、輸出業者の事業安定。農村部の生活レベル保証。
→輸送距離に関係なく、農民は同じ報酬。(社会の調和保つ)
※大きな利権。
★国際市場価格の下落
・国際市場の需要以上のカカオ生産。
・安定化基金が、裏金として消える。
・市場が犯人?
■大統領の市場に対する反撃
・カカオの不足を意図的に生み出し、価格上昇を狙う。
→しかし、市場はそれを見透かしていた!! 狙いとは裏腹に、価格は下落!!
→ついに、下落した価格でコートジボワールは、売りに出すしかなかった・・・。
★コートジボワールのカカオ利権の奪い合い
・コートジボワールの大手カカオ関連会社JAG→ カーギル!!! が買う。
・世銀とIMF→コートジボワールへの自由化、民営化推進 (いつものパターン)
エネルギー分野の自由化要求、コメ輸入自由化要求、そして「安定化基金」の解体要求!!
(確かに、安定化基金は、腐敗の温床になっていた。しかしコートジボワールの安定に寄与していた。)
⇒1997年5月、世銀幹部は、「安定化基金」の解体要求!!
⇒7月、コートジボワールは要求を呑む(ベディエ大統領は世銀IMFの資金必要だったので。。。)
■安定化基金がなくなることのデメリット
・保証価格をなくすことによる農民たちの所得が不安定になる
・肥料の供給をどうするか
・中間業者、監視人、などと農民たちとの関係
→しかし、結局、なし崩し的に、安定化基金は消滅!!!
■安定化基金の消滅
・先物市場から、スポット市場へ
・相場は不安定に。
・貿易業者により、相場は下落
■農民たちの悲劇
・自由化の一年後、コートジボワールの農民の報酬は、半額に。
・1987年と2001年以降を比べると、75分の1の収入。
・トンあたり450ユーロ下落。
■穀物メジャーのカーギル、ADM動く!!
・カーギルは農村部に5000万ドルの工場建設。
→比較的高値で、カカオ買占め。
→ライバルのコートジボワールの輸出企業シフカは、これについていけず、穀物メジャーADMに買収される。
→現地の輸出企業は淘汰される。
(メジャーの提示する価格には対抗できず、銀行には貸し渋られたから。かつて安定化基金があるときは、国家がカカオの取引を保証し、契約は必ず実行されたため、銀行は気軽に融資してくれたのだが・・・。)
・結果として、穀物メジャーのカーギル、ADMが勢力伸ばす。
→現地で製品加工、輸出。
■コートジボワール政府の反撃・・・。しかし失敗。みなバラバラに・・。
・農民の所得を安定させる機関が必要。→銀行は資金出さない→農民から資金を税金として集める。
・安定化基金の腐敗公務員を一掃。
・そして、コートジボワール・カカオ国家生産者連盟が誕生。
→しかし、政情不安定で、カカオの輸出ストップ。(2000年)
→しかし、国際相場価格は下落。(欧州に在庫たくさんあったから。)
・コーヒー・カカオ基金 (BBC)
(農民と輸出業者の代表者が民間機構の管理運営をするシステム)
→政府関係者は締め出される。
→農民と輸出業者は対立。
・規制管理基金 (FRC)
→政府関係者が占める。徴税権を手放さない。
※このように、様々な組織が誕生し、公的機関・民間機関・第三セクターなどの権限が複雑にもたれあい、機能不全に陥る。
※財政問題が深刻化。国際価格は低迷しているが、課税額は増大。全員がばらばらになり、各自が勝手に自らの利益を追求。
※略奪行為の横行。経済が規律を失う。無政府状態。公金横領などの事件。
※隣国の住民を追放。民族分裂。
■基金は内戦に利用される。
・2003年に、カカオの国際相場価格の崩壊。
→農民は所得補填を政府に要求
→しかしFRCは2億ユーロのうち、1億7000万ユーロは大統領に
→大統領は、北部の反乱軍鎮圧にその資金を流用。
・2003年2月
→大統領に武器を供与するフランス人などが現れて消える。
・その後、操業を停止したアメリカ、フルトン市の古いネスレ工場を、コートジボワール人がFRCの資金、3億ユーロで買収した。
→無駄・・・? 謎。
■世銀のせいで、コートジボワールは最悪に。。。
1998年から2004年に実行した自由化によって・・・
・農民の暮らしを悪化させた
・汚職は蔓延した
・カカオの国際相場はどん底に
・カカオの流通に関わる幹部の横領が横行し、金庫は空に
・農民が拠出した資金は、消えた。(政府は戦闘機などを購入。それはフランス軍により破壊されたらしい。)
→農民は金返せデモ
■今後
・コートジボワールは、政情不安定でも、カカオの生産は続けられているし、中間層の教育レベルが高いため、今後は復活するかも。。。
(要約終わり)
Posted by らっっっきー at 00:30│Comments(0)