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2007年05月09日

◆ペンから剣まで一切を 赤い盾(P1685~1698)

◆ペンから剣まで一切を 赤い盾(P1685~1698)



 今日は、赤い盾最終章であるが、あえて要約は行わない。
 最後の章では、驚くべき系図が描かれる。だが、エピローグはおおっぴらにしないのが、エチケットなような気もするので、読みたい人はぜひ買って読んだ方が宜しいかと思われ。
 でも、印象深い言葉を引用してみようと思う。

【引用開始】
 富豪たちは、わが国の長者とは富の質と言う点で比較にならない。日本の長者は、汚れきった大都会の土地-欧米であればゴミのような財産-が意味も無く高い地価によって資産とみなされ、べらぼうな金額になっていただけだ。地価の暴落によって、それが証明されつつある。北海道や東北の農民こそ日本における真の大富豪である。
 ヨーロッパの富豪は、城を構えている。いずれも値のつけられないほどの財宝である。しかも彼らには、スイスに隠し金庫がある。中でもイギリス王室は広大な土地所有者で、大ブリテン島の南東部イングランド、北部スコットランド、南西部ウェールズのそれぞれに土地を持ち、合計二十五万エーカーに達すると言う。そのほか、この財産を管理する王室委員会は、ロンドン市内のカーナビー、リージェント、ハイドパーク、ヴィクトリア地区などでも数え切れないほど一等地を確保し、その借地料の上がりで贅沢三昧の生活が保障されてきた。
 この富をもたらした最大の貢献者が、ロスチャイルド一族であった。インドから、エジプトから、南アから、そしてカナダ、オーストラリアから財産を奪ってきたわけである。本書でたびたび語ってきた事だが、これまで書かれてきた歴史、文学、映画のシナリオなどは、多くが事実の真髄から程遠いものであった。国家の名前と抽象的な体制だけで、歴史は説明されてきた。その奥には、歴史を実際に動かした産業の会社名があり、会長や頭取が居た。なぜ彼らを歴史書の表面に出して議論しないのであろうか。
 政治家などは、皆企業の代理人であるから、その政治家の政策や性格などを詳しく分析してもほとんど意味が無い。そこに企業家としての支配者を介在させて、始めて政治や体制、芸術、文化を議論できるようになる。なぜなら、金融家は政治だけでなく芸術や文化までそっくり買い取り、ジャーナリズムと軍隊まで私有してきた。ペンから剣まで、一切を。
 それがヨーロッパの王者ロスチャイルドである。この一族を、ただ"富豪ロスチャイルド"で片付けてきた歴史とは一体何であろうか。
【引用終わり】




 ロスチャイルドという名前を聞いた事があるだろうか。ある図書館でロスチャイルドという単語で蔵書検索をしてみたら、ほとんどヒットしなかった。ロスチャイルド夫人に学ぶ社交術のような本と、この赤い盾など数えるほどしかない。
 世界でもっともメジャーな存在でありながら、日本では物凄くマイナーな存在である。
 例えば陰謀史観というものがある。世界はユダヤに握られているのだとか、そういった多少トンデモ的な世界観である。それはなんとなく胡散臭い。
 また一方で、この世に陰謀など存在しないのだ。という考え方もある。世界はあまりに複雑で、有象無象の人々がひしめきあっているだけなのだという考えだ。
 しかし、自分が思うに現実は、そう単純なものでもないし、陰謀が全く存在しないという考えも甘いと思う。例えば反ユダヤ主義というものがある。第二次世界大戦時は、大手のメディアを反ユダヤ主義が席巻していて、あらゆる事がユダヤ人のせいにされてきた。
 しかし、このロスチャイルドの物語を読めば分かるように、「彼ら」は、決してユダヤ人に限らない。キリスト教徒も含め、さまざまな国の白人が閨閥を作ってきた。彼らの中にはユダヤもいるが、それはユダヤ人全体からすると、ほんの一部に過ぎない。むしろ多くの一般庶民のユダヤ人たちとは、全く異なる存在と言っても良い。そして一般の貧しいユダヤ人たちが、スケープゴートにされて悲劇が生まれたのだ。俺は決して反ユダヤ主義に同調するものではない。インドのゴアで出会った素朴なイスラエル人たちは、特権階級のユダヤ人とは、ほとんど関係が無いだろうと思う。
 そして陰謀が全く存在せず、世界を支配しているものなんていないという考え方もおかしい。今ある人間の世界は、人間の中の誰かが中心となって作ってきたものだ。そして世界を支配している呼べる状況にやがてなったのだ。トートロジーではあるが、世界を支配している者が、世界を支配しているのだ。それが誰かという問題はあるとしても、誰かは確実にいるのだ。トンデモ的な世界観であれば、それは宇宙人だとか、悪魔がどーのこーのだとか、ユダヤ人だとかが出てくるだろう。

 自分の考えでは、現在の世界でもっとも力を持っているのが、彼らロスチャイルド一族であり、彼らは「国際金融資本家」とも言うべき存在である。

 現在のグローバル化した状況も、彼らによって作り出されている。日本人は、いや日本人に限らず、世界の人は、誰が世界を動かしているのか、もっと知るべきであろう。

 最後に、広瀬隆氏の言葉を引用しよう。


【引用開始】
 五つの大陸で起こっている悲劇、数々の島で起こっている悲劇、そしてこの日本を支配している無知、これらのことは必ずや我々の世代のうちに克服されなければならないものである。しかも人類はその最後の希望と絶望の狭間にあり、今であればおびただしい数の市民の知恵が、それを解決できる時代を迎えている。本書はその一助になるよう祈って、また後年のための記録として、次の世代に調査が引き継がれるよう書かれたものである。

(「赤い盾」完)
【引用終わり】
 

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Posted by らっっっきー at 00:31│Comments(0)赤い盾
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