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2007年03月09日

「ガラスノ牙」 勅使川原三郎を観た!!

「ガラスノ牙」 勅使川原三郎を観た!!



 NHK教育テレビで、現代舞踊というか、コンテンポラリー・ダンスの番組が、日曜深夜にやっていた。
 暗い背景に、黒い服を着た坊主の東洋人が踊っている。正直言って、まず感じたのは、お茶の間に飛び込んできた余りにも異様な光景であった。
 それは、ダウンタウンのガキの使いやあらへんでや、民法のCMなどの世界とは、全く一線を画した、この世のものとは思えない怪しさであった。
 精神崩壊を引き起こすような、男の喚き声、叫び声、ガラスの破片の発するノイズなどが入り混じった音楽の中、坊主の東洋人と、細い黒髪のアジア系の女性が踊っている。クネクネと体を動かし、ありえない動きをしていた。
 まず、どうみても気が狂っているようにしか思えない・・・。さすが3チャンネルは、すごい絵を放送するものだと思い、あっけにとられていた。チャンネルを変えようかと思ったが、しばらくこの異世界の光景を見てみようと思った。
 そして、それがものすごいものだと気づいたのだ・・・。

 ガラスをいじって、その音を聞く女性、そしてずっと延々と踊り続ける男性、静かになり、ガラスのこすれる音が聞こえる。そして舞台は暗転し、ガラスが敷き詰められている両側から、ガラスの破片を選んで、投げるのだ。
 
 そして音楽は、クラシックの優しい音色が流れ、ソロで男性が踊る。これは、本当に、今までに見たことのない、「何か」であった。言葉にはできない、「何か」が、感覚として伝わってきたのだ。それは、今までに全く見た事の無いものであった。
 現在の世界は、すべてが言葉に溢れている。全てに目的があり、全てがありふれたものであり、あらゆるものは、何処かで見た事があり、聞いた事のあるものだ。しかし、この舞台は、「虚空」の中にいるような感覚であった。
 意味のあるベタで凡庸な情報に毎日晒されている日常では、決して感じる事の無い、無意識のギリギリの世界がそこでは展開されていた。
 それは、美しいとも、真であるとも、善であるとも、あらゆる価値観から、離れた世界であった。身体表現には、限界は無いと聞いた事があるが、正にそれはその通りであると思った。ゆっくりとした動きの中に、無限の表現がある。
 それは言葉では、全く説明できない「なにか」なのだった。
 いつしか自分は、何も考える事ができなくなり、頭の中で言葉を失い、全く新鮮で、別の異世界に引き込まれていた。
 感じたのは癒しの世界だった。

 これは、「ガラスノ牙 glass tooth」という舞台で、この人は、勅使川原三郎という方で、東京の新国立劇場で公演されていたらしい。
 うーむ、すごい・・・。知らなかった世界だ・・。

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Posted by らっっっきー at 00:09│Comments(0)
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