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Posted by さぽろぐ運営事務局 at

2008年03月09日

映画 鬼が来た (鬼子來了) 2000年 中国 【感想】






映画 鬼が来た (鬼子來了) 2000年 中国

 感想。映画を観たんで感想でも。。。

 ↓かなりネタバレしてるので注意!!!!!
 ここでは、8.12点である。オススメの映画なので、先入観なしで観るのが良いかと。。。
 http://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=4255&SELECT=25013

 痛過ぎる映画であった。救いが無かった。舞台は第二次世界大戦中の中国である。
 日本軍の占領下にあった中国の村で、ある村人は、ある謎の抗日活動家から、麻袋を受け取った。そこには捕らえられた日本人と通訳が入っていた。
 しばらくはコミカルな演技が続き、その日本人と村人の交流が描かれるが・・・。

 日本人がなんとなく思っている「中国人が日本人に抱いている反日的なイメージ」というのは、この映画には単純に描かれるワケではない。だからと言って日本人が優しい存在というわけでもない。
 捕らえられた香川照之が演じる花屋小三郎は、最初は天皇陛下バンザーイと言って、自殺しようとしていたが、徐々に心を開き、心から村人たちに感謝をする。村人たちも、自分たちの安全のために、殺そう殺そうとするのだが、結局殺さない。
 
 日本の軍人が、異常にリアルに見えた。今の日本人にも、ヤクザのような恐ろしい人間もいる。怒鳴りまくる部長や課長もいる。だが優しい人間もいるし、気の弱い男もいる。日本の軍人の描き方は、そのように様々な個性があり、それが一層リアリティがあった。宴会の席で、バカ騒ぎをする日本人も、現代とそっくりだ。日本語でふざけながら調子に乗って中国人を殴りまくる野郎など、身近にいそうなくらいだ。
 だが、恐ろしい。自分は日本人でありながら、中国の村人の立場になって、映画を観てしまう。軍隊的な動きや、ドスの効いた口調、人を脅す仕草など、迫真の演技である。
 また日本人に媚びて、中国と日本は同じ祖先だとか、皇軍は素晴らしいと歌う中国人たちも描かれる。この不条理さ。今、日本がアメリカに支配されていて、産経新聞のようにアメリカを崇拝してる悲しさと、同じような悲哀があった。そういう人たちがいただろうなということも、観て初めて分かる。
 
 そして急激に狂気的な破綻が訪れる。もう映画を観ながら胃が痛くなってきて、いつこの不安定な状態が壊れて、悲劇的展開になるのかと思っていたが、それは急に訪れるのであった。
 はっきり言ってこの場面は、ムチャだ!! あれだけ酔っ払ってたのに、あんなことまでできるのか?? 逆に酔っ払っていたからこそ、あんなことになったのか。
 そしてその直後、日本人の軍曹がなぜあれだけムチャをやったのかが明かされる。日本は既に敗戦していたのだ。日本軍は何百万人も死に、そして負けた。それを知っていた軍曹は、狂気と紙一重であったのかもしれない。
 
 あれだけ威張っていた日本人は捕虜になった。そして国民党の兵士たちが、連合軍と一緒になって、街を支配した。それもやはり戦争の不条理な姿だ。美しく着飾っていた日本人の女たち。彼女らも売春婦となってしまった。
 中国に日本は災厄をもたらしたのか。だが、次に支配者となった国民党は共産党と内戦を行い、血みどろの戦いを繰り広げたではないか。そしてもちろんアメリカは、その後も世界中で戦争をしてる。日本ざまあみろで終わる物語でも無いのだ。
 
★最悪のネタバレ

 ラストシーンなどは矛盾の極地ではないか。中国人が中国人を処刑する。しかも日本人を殺した中国人を処刑するのだ。しかも捕虜の日本人が処刑するのだ。しかも日本刀でだ。しかも恩人を受けたものが、恩人を斬るのだ。
 そこには伏線が使われる。斬られた者は、成仏できるので、微笑んで死ぬと・・。
 悪いやつが殺されて勧善懲悪でカタルシスなどというのとは、全くの真逆である。
 
 なぜ監督はこんなラストにしたのだろうか??? すぐには分からないかも。

 彼は、捕虜を救おうとした。だが結果として裏切られて村人が大勢殺され、自分も殺される事になった。
 だが殺し合いの螺旋からは降りられる。だからこそ安楽の表情だったのか。そうだとしたらやはり悲しすぎるね。  

Posted by らっっっきー at 02:43Comments(0)